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回収業務の業務委託について

債権管理の中でも、とくに手間と時間のかかる回収業務を外部に業務委託することのメリットやデメリットについてまとめています。

債権管理の回収業務を業務委託することのメリット・デメリット

債権回収は、商品やサービスを提供する際の最終着地点であり、ここまで終わってようやく取引が完了したといえます。

債権回収が遅れると、とくに大口の取引の場合、自社の経営状態に大きく関わってきます。ましてや、回収不能に陥ったりすれば、今後の経営を揺るがしかねません。

しかし、会社の規模が大きくなったり、事業が拡大されていくと、取引先も増え、債権管理業務も煩雑になっていきます。取引先からの入金が遅れれば、電話や手紙、メールなどで督促したり、法定書類を作成しなければなりませんし、それでも回収できない場合は、法的措置を採る必要も出てきますが、専門知識が必要になり、さらに時間と手間がかかります。

こうした煩雑さを回避するために、債権回収を外部に業務委託するという方法があります。債権回収会社は「サービサー」とも呼ばれ、借金の回収を専門としている会社です。サービサーは、法務大臣から営業の許可を取得して設立した会社で、その許可を得るためには、最低資本金5億円をもっていること、取締役のうち1人は適格性のある弁護士であることなど、厳しい条件をクリアする必要があります。

サービサーが行っているおもな業務は

です。

債権回収をサービサーなどの外部業者に委託することには、さまざまなメリットがあります。

こうしたメリットがある一方で、業務委託することによるデメリットも。

債権管理の回収業務の業務委託とは

商品やサービスを提供した対価である売掛債権をしっかり回収して、初めて取引は完了します。そのため、ビジネスでは売掛債権を適切に管理した上で、請求漏れや未入金などがあれば迅速に対処して債権回収を行わなければいけません。また、取引規模や入金予定のタイミングによっては、その売掛債権を予定通りに回収できないと、今度は自社が別の取引先へ入金できなくなり、経営状態を悪化させてしまう恐れもあります。

しかしこのような債権管理や回収業務は、取引の数が増えれば増えるほどに時間的にも労力的にも会社にとって負担となっていきます。また、中には悪質な取引先が故意に入金を遅らせているケースも考えられるでしょう。

そこで、負担の大きな債権管理や回収業務を専門の会社へ外部委託して、業務を効率化して回収率を高めることも有効な戦略です。

回収業務には通常業務で不要な負担が大きい

本来支払われるべき売掛金が、想定していた日までに入金されていない場合、そこには様々な原因が考えられます。

まず、自社からの請求が適切に行われていなければなりません。また、相手側企業の締め日などにより、入金のタイミングが異なることもあります。あるいは担当者のミスで入金が忘れられていることもあるでしょう。

しかし、そのような場合であれば直ちに再請求や電話による確認などをすることにより、最終的に売掛金を回収することは可能です。

仮に相手側企業が誠実な会社であっても、そもそも経営不振などにより支払えるお金がなければ入金もされません。あるいは、相手側企業から「お願いだからもう少し待って欲しい」と懇願される場合もあるでしょう。

当然ながら相手にどんな事情があれ、売掛金を回収する権利は自社にあるため、相手側企業へ適切に請求を行い、場合によっては法的措置を執ることが重要です。しかし理屈では分かっていても、実際には様々な関係性や人情が理由で、ずるずると支払いを引き延ばされてしまうケースが珍しくありません。その上、売掛債権には消滅時効があり、きちんと対処しなければ売掛金が消滅してしまう可能性さえあります。

また、悪質な企業に対しては厳格な対応が必要ですが、そもそもそのような相手では、電話や手紙などで再請求や督促を行っても、適当にあしらわれたり無視されたりするかも知れません。さらに法定書類を作成する手間や、いっそ訴訟するにしても裁判費用などがかかり、結果的に損失となる可能性もあります。

このように、回収業務には単なる事務作業の複雑化だけでなく、精神的な負担や経済的損失リスクといった様々な問題があります。

回収業務を外部委託する一般的なメリット

回収業務を専門の会社へ外部委託するメリットは、何よりも回収業務のプロへ作業を一任できるという点です。

債権回収のプロは、相手側企業にどのような事情があったとしても、あくまでも客観的に債権回収業務を行ってくれます。その上、法的な知識も充分に備えているので、悪質な企業が相手であっても逃げ得を許しません。

また、相手側企業にとっても、一般の会社であれば適当にあしらえたとしても、債権回収のプロが登場すると真剣に対応せざるを得ず、結果的に外部委託をした方がスムーズに債権回収が完了するといったことも少なくありません。

さらに、債権回収の代行業務を行っている事業者は複数あり、自分と取引先の関係性を考慮しながらベストな会社や事務所を選択することも可能です。

回収業務を外部委託する一般的なデメリット

収業務を外部委託する一般的なデメリットは、売掛金の100%回収が難しいという点です。 仮に請求通りの額面で支払いが行われたとしても、代行会社へ手数料や成功報酬などを支払う必要があるので、差し引きすれば当初の利益よりも減ってしまうことになります。

また、場合によっては法的手段で債権回収を行った結果、相手側企業から逆恨みをされてしまう恐れもあります。その他、旧時代的な経営者などの中には、第三者を介入させることで仕事上の信頼関係が崩れたと考える人間もいるでしょう。

しかし、何もしなければ自社の経済的損失が大きくなるだけなので、デメリットを恐れて債権回収を諦めるのではなく、デメリットにもきちんと対応することが肝要です。

売掛債権の回収業務を外部委託する方法

売掛債権の回収業務を外部委託する方法としては、大きく3パターンが考えられます。

弁護士

弁護士は裁判で依頼人を弁護するだけでなく、法律に関する専門知識を駆使して債権回収を行ってくれるプロです。また、弁護士は依頼人の意向に沿って債権回収業務を進めてくれるため、感情的に相手側企業へ配慮が必要な場合も、後々のことまで考えて回収の方法を考えてくれる点が重要です。もちろん、相手側企業が悪質な場合に訴訟へ発展したとしても、事情に精通した弁護士がいれば心強いでしょう。

その上、複数の取引先に対して未回収の売掛債権を抱えている場合、包括的な契約によって業務を効率化することも可能です。

その他にも、弁護士に依頼する場合は法的に問題があったり、公序良俗に反していたりする債権でなければ、企業間や個人間、企業と個人間といった関係性を気にせず回収代行を委託することができます。

弁護士に債権回収を業務委託する際の注意点

法律のプロとしてオーダーメード型の債権回収業務を代行してくれる弁護士ですが、弁護士に依頼する場合は注意点も少なくありません。

まず、弁護士にはそれぞれ得意分野があるという点です。

一口に弁護士といっても、刑事事件を専門的に扱っている弁護士がいれば、離婚訴訟や借金問題といった個人のプライベートな問題解決を専門的に扱っている弁護士や、企業案件・訴訟を専門的に扱っている弁護士もいて、その実態は様々です。そのため、債権回収を外部委託する場合、企業法などに精通した弁護士に依頼することが欠かせません。また、その弁護士がきちんと依頼を果たせるだけの能力を備えているかどうか、実績などをきちんと確認することも大切です。 加えて、弁護士に依頼すると、弁護士費用がかかります。基本の費用や成功報酬などについては、弁護士事務所によってそれぞれ違いがある上、取引の規模や業務の複雑さによって費用が上下することも考えられます。特に、少額の売掛債権で弁護士を使った場合、回収に成功しても赤字となるリスクを無視できません。

また、弁護士を使うということで、相手に心理的なプレッシャーを与えやすくなります。これは相手が悪質な企業であった場合、債権回収を成功させる効果的なポイントになりますが、そうでなければ自社と相手側企業との関係性を決定的に破壊してしまうリスクにもなります。あるいは、狭い業界や古い業界などであれば、本来は被害者であるはずの自社が、周囲の他の会社からまるで悪者であるかのように見られてしまうといった展開も想定しなければなりません。そのため、弁護士へ外部委託する際は、まず本当に弁護士を使うことがベストなのかどうか、しっかりと相談して確認することが必要です。

債権回収会社

債権回収会社は文字通り債権回収業務を専門的に扱っている会社であり、「サービサー」とも呼ばれます。

債権回収会社は、請求書の発行や督促、集金といった回収業務の代行だけでなく、取引に関するデータの管理といった債権管理業務や、債権の評価に基づいた債権買取など、様々な業務を行っています。そのため、売掛債権のある会社にとって、債権回収会社はとても心強い味方です。

反面、債権回収会社として設立するには法務大臣からの営業許可が必要で、例えば資本金が最低5億円以上、取締役の内最低1名は適格性を持った弁護士であること、社名に必ず「債権回収」という文言が入っているなど、認可には厳しい条件が定められています。

そこで、もしも債権回収会社へ業務委託を行おうとする場合、何よりも先にその会社が正式に営業許可を得ている会社かどうか確認することが必要です。そしてその上で、その売掛債権が債権回収会社によって回収可能な債券なのかどうか相談し、可能であれば正式に業務委託するという形になります。

通常、債権回収会社は相手側企業に対して電話や郵便によって売掛金の確認・督促を行い、それでも相手が適切に対応してくれない場合、徐々に法的手段を進めて行くという、段階的な回収業務を行います。

また、自社の都合によって債権回収が完了するまで待っていられないという場合、速やかに債権を現金化できる債権買取を依頼することも可能です。ただし、その場合は売掛金の額面でなく、債権の評価額によって買取が行われるため、本来よりも利益が減ってしまう可能性があります。

債権回収会社に債権回収を業務委託する際の注意点

債権回収会社は、サービサー法に定められている範囲内で回収業務を代行できます。そのため、法的に認められていない債権などの取り扱いを依頼することはできません。

また、債権回収会社の回収方法はシステマチックに進められるため、弁護士のようなオーダーメード型の回収代行を行ってもらうことは難しいでしょう。加えて、債権回収会社は債権回収にかかわる法律の知識を備えていたとしても、弁護士でないため、その債権について法的な判断をすることがありません。つまり、「払った」「払ってない」といったトラブルや、個人間の問題に関して解決してもらうことも不可能です。

当然ながら、債権回収会社へ支払う手数料も発生します。そのため、コスト的にメリットがあるのかどうか、自社で回収業務を行った場合と冷静に比較検討することも大切です。

ファクタリング会社

ファクタリング会社は基本的に、自社からの依頼で相手側企業へ督促などの回収業務を行うのでなく、売掛債権を買い取って対価を支払うことを主にしている会社です。

ファクタリングには、自社とファクタリング会社の2社間だけで行う場合と、売掛金の請求先である取引先も交えて複数社で行う場合の、大きく2パターンがあります。

2社間ファクタリングの場合、自社が保有する取引先への売掛債権を担保として、先にファクタリング会社から売掛金として資金が支払われます。そしてその後、取引先から入金がされれば、そのお金をファクタリング会社へ支払うという流れです。支払期日よりも前に入金されるため、売掛債権を早期に現金化したい場合に有効です。

対する複数社間でのファクタリングでは、売掛債権そのものをファクタリング会社へ売却譲渡します。そして自社は売掛金を債権の売却益によって回収し、ファクタリング会社は改めて債権者として、取引先からの入金を待ちます。

ファクタリング会社に債権回収を業務委託する際の注意点

そもそもの前提として、ファクタリング契約には審査があり、支払いが遅延している売掛債権や相手側企業が悪質な場合など、何かしらの問題やリスクがある債権については、そもそもファクタリング会社が買い取ってくれないという点がデメリットです。

また、2社間ファクタリングでは取引先にファクタリング契約について知られることがないため、企業間の信頼関係を損なうことがありませんが、仮に取引先からの入金が期日までに行われなければ、今度は自社がファクタリング会社から資金返還などを求められることがあります。

複数社間のファクタリングでは、債権譲渡をする上で取引先の同意も得ないとならないため、ファクタリング会社を利用していると相手に知られてしまう点にも注意しなければなりません。また、債権譲渡の登記についても作業や費用が必要になります。

AI導入サービスならここまでできる

近年、サービサー業界では競争が激化し、各企業でさまざまな取り組みが行われています。

たとえば、AI・機械学習技術を活用した債権回収ソリューションの構築。具体的には、顧客損益管理システムにより債権分析や回収予測を行い、トランザクションデータや音声データマイニングを使って回収行動を分析し、オペレーターの多角的評価や個別教育を行います。

こうしたサービスよって、属人的なものが多いとされていたサービサー業界の業務を、さらに効率化させることができます。

まとめ

自社では負担の大きな債権管理や売掛債権の回収業務について、専門家や専門会社へ外部委託することはメリットが多い反面、様々なデメリットもあり、それらのバランスを冷静に見極めることが重要です。

また、そもそも債権管理に関する業務負担の軽減が目的であれば、外部へ業務委託をせずとも、専用システムを導入して業務を効率化することで状況を改善できるかも知れません。 膨大な債権管理をシステムによって合理化できれば、その分だけ担当者の負担が軽くなり、生まれた余裕で回収業務へ当たることも可能です。

売掛債権の回収はビジネスの根幹を担う重要なポイントであるからこそ、自社にとってベストな方法を考えていきましょう。